基盤研究 | |
・トンネル掘削に伴う応力変化計測手法に関する研究(R2-R4) トンネル地山に作用する応力の変化を捉えて、切羽の安定性を予測することが、トンネルの安全な掘削や切羽の崩落防止につながります。 本研究では、トンネル工事中の先進ボーリング孔内で、応力による岩盤の変位を撮影画像から予測する方法の開発を目標としています。 |
|
・ボーリングコアを用いた蛇紋岩の岩盤分類手法に関する研究(R2-R4) 蛇紋岩地山のトンネル掘削では想定外の地山変状が発生し難工事になることがあります。本研究では、トンネル施工中にトンネルの掘削面(切羽)から前方に向けて掘削されるボーリングコア試料を用いて、蛇紋岩類の源岩構成、蛇紋石や副成分鉱物の種類や含有量、磁化特性などの地質学的な背景と各種物性値との相関を解析することにより、蛇紋岩類の新たな地質工学的分類を提案することを目標としています。 |
|
・植物繊維を用いた重金属類を含む濁水処理技術に関する研究(R2-R4) トンネル工事等をはじめとする土木事業で発生する濁水には土粒子や重金属類を含むことがあり、その処理では、含水率の低下や固化処理等の改質が必要となるほか、処分場への搬出や現場内等でのリサイクルに向けた処理コストと手間が生じています。 本研究では、カポック等の植物繊維のもつ粘土粒子や重金属類の吸着効果の解明と植物繊維を使用した効率的な処理方法を提案することを目標としています。 |
|
防災地質チームの研究課題
防災地質チームは、斜面災害や環境汚染などの地質に起因するリスクから人々の暮らしを守るための技術、厳しい自然環境の下の社会資本の効率的な整備や維持管理を効率良く行うための技術に関する研究を行っています。
主要研究・重点研究 | ||
・急激な気象変化に伴う雪崩災害に対する道路管理の判断支援に関する研究(R4-R9) 近年、急激な気象変化に伴い厳冬期に大雨が降ることによって雪崩が発生しています。それに加えて、融雪や降雨により雪氷が土砂を伴って移動し、災害が発生することがあります。これらの災害はその要因も複合的であることから、発生の予測は現状では困難であり、道路管理者が被害防止の判断を的確に行うための危険箇所や危険度を把握・予測する技術開発が求められています。 本研究は、雪氷チームと共同で実施し、厳冬期の大雨や、急激な気温上昇による斜面積雪と積雪下の土砂の安定性評価手法と雪崩災害に対する道路管理の判断支援手法を開発することを目的としています。 |
||
・落石危険斜面における効率的な調査手法と対策工の評価技術の開発(R4-R9) 落石・岩盤崩壊等の発生は、人命に直接的に関わるとともに、道路網が寸断されるなど地域生活に大きな影響を与えています。その対策として各種落石防護施設が設置されていますが、斜面の経年変化等により、これまで対策不要とされている自然斜面やのり面背後からの落石等の災害が発生しています。 そこで、防災地質チームでは、UAVを用いて、落石が発生する懸念がある斜面を広範囲に調査し、画像処理技術やAI解析等を用いて落石が発生した箇所や今後発生しそうな箇所を効率的に抽出する手法について研究しています。 また、研究分担として寒地構造チームでは、大きな作用力に対応した数値解析を活用した落石防護施設の設計手法について研究しています。 →寒地構造チームへ ・地形の影響を考慮した土木構造物等の排水性向上技術に関する研究(H30-R4) 集中豪雨による過大な表面水や浸透水を誘因とした土工構造物の崩壊事例は依然として多く、崩壊の素因は盛土や切土のり面背後の集水地形、平滑な斜面等の地形による表面水の流れ方や、斜面堆積物の表面水の侵食や浸透水の浸透破壊抵抗性の違いにあると考えられ、集水地形や平滑な斜面等の地形を考慮した排水対策の強化が課題となっています。 本研究では、集水地形や平滑な斜面における崩壊メカニズムの解明、表面水流量推定手法の提案を行い、道路の土工構造物等の排水対策を強化することを目的としています。
|
||
・環境負荷対策が必要な発生土の安定性評価に関する研究(R4-R9) トンネル建設などで発生する一部の建設発生土には、ヒ素や鉛などの自然由来の重金属や酸性水を溶出するものがあり、適切な調査と対策が求められています。この自然由来重金属等含有土への対応としては、施工前の調査段階において対策の要否や対策レベルを適切に評価できることが理想的ですが、施工前の調査において同質の地質でも溶出濃度に大きなばらつきが認められ、施工中に対策要否を判断せざるを得ないケースがあることから、対策土量を多めに想定する必要があり、対策コストが高額となる傾向にあります。 そこで本研究では、自然由来重金属等を含有する発生土の有効利用の拡大と対策コスト・環境負荷の縮減を目的に、自然由来重金属等の発生源となる岩種や鉱物等の適切な評価・分類に基づく事前調査の高精度化と、実際の溶出現象を適切に評価可能な対策工のモニタリング法について、地質チームと共同で研究を実施しています。 |